すこし開かれたWHATWG HTML

8月末のことなんだけれど、WHATWG HTMLの仕様書GitHubに移った。

体制も少し変わって、HixieがひとりでやっていたHTML仕様の作業にAnneやDomenicなども直接関わるようになった。Issuesでの議論やPull Requestの受け付けも始まり、だいぶモダンな策定環境になった。

これまでのWHATWG HTMLとHTML5仕様書

これまでのWHATWG HTMLは長らくSubversionサーバで運用されていた(もしかするとCVS時代もあったかも)。

HTML仕様書は基本的に1枚のHTMLファイルに書かれていて、それをツールで切り出しmultipage版やPDF版、Web Developer Editionなどを生成していた(あ、<picture>については、Simon PietersがRICGで作業してたものをパッチとして取り込んでいたので、多少いびつなことになっていたけど)。

W3CでのHTML5(関連)仕様書も、W3C版のパッチが必要なところや、Canvas 2D仕様とかの分割にはソース中に特殊なコメントを入れてツールがそれをもとにそれぞれの仕様書をつくるなんてことをしていた。

W3C仕様書は統一的なツールが最近になってようやく運用されはじめたけど、それ以前のものは仕様やEditorによって違っていて、それが他のEditorの参入障壁になっていた気がする。

GitHubでのコミュニケーション

仕様(書)がオープンな環境にうつったこと、またHixie以外の人が積極的に関わり始め、多少なりとも変化が感じられる。

ひとつはW3C HTML5仕様との差を埋める提案が少しずつ出たこと。たとえばパーザは<rb>などに対応した(conformingになってないのは厄介だけど)し、ARIAとの関わりについてはSteve Faulknerの仕様を参照するように変更された。

とはいってもこれはHixieが拘りをなくしたところなだけで、そうでないものはやっぱり手強そう。<main>の違い(複数書けるか書けないか)についてはIssueがたったもの燃えている。<hgroup>消そうみたいなIssueが経つと言うとまた荒れるんじゃないかな。Hixieの考えが悪いってわけでは必ずしもないんだけど、GitHubで運営されているものが持つオープンさとはだいぶ差があるのでそこらへんどうなるかな。バランスとれるといいんだけど。

HTMLはどうなってくのかね

HTMLの策定は、集まったユースケースやデータを元にHixieがうんうんと考えデザインされたものが仕様に出てきて、それをレビューするというフローだった。Web技術の策定にかけるリソースが足りてない2000年台前半から半ばは、執念あるひと(Hixie)が居ることで仕様やWebが進んだ。

ただ、デザインされた機能が実際に使えるものになるとは限らない。自身でも失敗と認める機能(AppCacheやWeb Storage、History APIなど)は少なくない。欲しいものではなかったことがわかった時にはもう遅いなんてことがあった。

Hixieはdeclarativeな機能を好んでるふしがあって、それはたぶんUAの独自性やオープンな競争を尊重してたからだと思うのだけど、同じ挙動というかなり強い互換性が求められる昨今にはあまり好かれるものではない。そういう反省もあってExtensible Webというのが来ていたりもするので、彼の設計思想がふんだんに反映されてるであろうHTMLをどれだけ綺麗に崩していけるかが、HTMLを発展させるポイントなのかなと。とはいえ彼を説き伏せるのはだいぶ至難の業だからねえ。

ただ、HTML自体にどれくらい発展が求められているのかはちょっとわからない。新しい要素ならWeb Componentsで自分でやってねということになる(そうさせたい)だろうし、その他APIはメンテしたりたまにちょっと足したり、他の仕様でさせるためのextension pointを作ったりするくらいで、基本的にはメンテナンスモードのままなのかもしれない。バージョンレスとは言ったけれど、バージョンを切るほどの活力はもうないのかなとも思う。

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