OperaのWebKit移行
各所で既報だろうけれど、OperaがWebKitへの移行を発表した。
WebKitベースのモバイルブラウザを発表という噂があって、ああモバイルだけかと思ったら全部だと。驚いた。そりゃ去年夏ごろから人が離れたり、PrestoのWeb標準実装ドキュメントが更新されなかったりするわけだ。ふむ。
“WebKit”とあるけれど、Operaソースの発表を読む限り、どうやらChromium portっぽい。Chromiumベースに独自のOpera portを作ったりはないよねえ……
ChromiumベースでどれくらいOperaフレーバーが出るのだろう。拡張もChromeベースとなるとUIもそんなに変えられないだろうし、Chromeに似たものになるのかな。デスクトップでの存在意義が薄くなってしまいそう。
W3Cでの影響
Daniel Glazmanが書いてる通り、標準の実装としてブラウザがひとつ減ってしまうことは大きい。
標準化団体や標準への影響はどうなるか。どうだろう。W3Cで標準化に関わっているOperaの人って、ちゃんと自身の意見を持っているように思うので、使うエンジンが変わることで意見が変わることはなさそう。あったとして、WebKitの内部構造的に実装が難しくなるとか、そういうところなのかな。
WebKitプロジェクト内でどうなるのか
気になるのが、WebKitプロジェクトのプレーヤーになること。
Prestoは他のエンジンと違って提案・実装する機能がユニークだった。Device Adaptationやらobject-fit, tab-sizeとかとか。昔で言うとWeb Forms 2やメディアクエリーとかはだいぶ早くから実装していた。FlexboxもCR版の実装は一番早かった。
今回の移行で、Operaが持っている知見をWebKitに活かせれば的なことが語られている。とりあえずMulticolのパッチを投げるらしい。
Some of our best programmers have been working on the WebKit code for a while, and today we have announced that we will be using the WebKit engine in the future [1]. We will also submit our code; switching from Presto to WebKit frees up resources and allows us to contribute to the WebKit platform.
The first contributions from our side will be in multi-column layout [2]. We have experimented with combining multicol layout with page floats and column spans [3]; in 10 lines of CSS code one can create amazingly beautiful, scaleable and responsive paged presentations [4].
ただ、今後Operaが新しい機能をWebKitに追加しようとして、すんなりできるのか。
webkit-devを読むとなんとなく、何か機能をコアに追加する際はプロジェクト内のラフコンセンサスをとるような流れになっている。なので、FXTFのWeb Animations 1.0やPointer Eventsなどは、追加したい人がいるものの議論になって宙ぶらりになってたりする。
Operaが持ち込みたい機能が、WebKit内で通るのか。WebKit内に通ったとしてiOS portに入るのか。Operaが持ってたユニークネスが活かされるには、WebKit内の政治というかそういうところにかかってる気がする。